奇しくも晴臣さんに抱かれて、修司が戦友以上に想えないとはっきりしてしまう。

「修司、朝ご飯まだでしょ? 何が食べたい? 作ってあげる」

 私を好きだと言ってくれる彼にこんな応え方しか出来ない。

「……和食、豚汁とか食いたい」

「豚汁ね、了解。今回は人参入れないでおく」

「サンキュ」

 言外には真実を教えないでくれてありがとうとも含まれており、その証拠に修司もそれ以上言わなかった。

 晴臣さんとの一夜を包み隠さず話したとて私と修司の関係は変わらない。しかし、私と修司と花梨ちゃんの関係はそうもいかないだろう、崩れ去る。

 皆それぞれを大事にしたいと考え、行動していても誰かを傷付けてしまう。

 こんな身近で擦れ違いが起こるのだから、恋愛感情の矢印が双方に向くのは奇跡かもしれない。

 たとえ通じ合えたのが一瞬であろうと、このキスマークが消えてしまっても、私は晴臣さんの熱の名残りで生きていける。叶わない恋で構わないんだ。

 一難去ってまた一難、ラシオが新しい台風の発生を報じていた。