明け方まで求め合い、私は晴臣さんの腕に包まれた状態でまどろむ。

 このまま眠りに落ちれば夢から覚めなきゃいけなくなる。波打つシーツの乱れを眺め、与えられた熱を手放し難く感じていた。

 私は自分をもう少し理性がきく人間、、たとえば一目惚れなどしないタイプと思っていたけれど、そうではないらしい。

 くるりと姿勢を回転させ、眠る晴臣さんを伺う。まさに眠れる王子様の構図に口角が上がった。

 甲板で助けて貰った時から、いやレッスンをした時からーーもっとそれ以前から彼を知っていた気がしてならない。つまるところ、一目惚れより重症で晴臣さんに運命とやらを感じる。

 抱かれたから執着心を覚えたんだ、言ってしまえばそうなのだろう。

 青い瞳も通った鼻筋も欲しい言葉をくれる唇だって全部、全部私だけのものにしたくて。こんな気持ち、初めて。

「晴臣さん」

 名を呼ぶと眉が反応する。

「まだ早い、でしょう? 身体を休めて、一緒に朝食を……」

 夢の世界からの返事にしてはしっかりしている。私をギュウッと抱き締め直すと引き続き寝息を立てた。

「シャワー浴びたいんです」

「ん? あぁ」

「シャワーを」

「じゃ、僕も」

「いいから、晴臣さんは寝ていて」

 髪を撫でると開きかけた目蓋をくっつけ、腕の力を緩める。その際、身体のラインをなぞられるが無意識だろうか?

 私を暴ききった指先が悪戯をする前に身体を起こす。