「そ、その人のせいで私は選手生命を絶たれたの!」
修司、私、花梨ちゃんの順で立ち上がる。各々が各々へ責任の矢印を向け、話し合いはさっそく暗礁に乗り上げた。
「“人魚の涙”を無くしたのと相殺になんかしないから!」
「無くしたのではなく捨てたのでは?」
晴臣さんだけは着席したまま。
「ふーん、先輩がチクったんだ?」
「わ、私はーー」
「やっぱり幼馴染より彼氏の方が大切なんですねぇ〜玉の輿、おめでとうございます!」
花梨ちゃんの刺々しさに私はショックを隠せない。そんな私をみ、花梨ちゃんが唇を噛む。
「花梨、おまえのやらかしをフォローして奈美は怪我したんだぞ? そこは謝るべきって決めたじゃないか?」
「兄貴は誰の味方? まだ奈美先輩の肩を持つ? 先輩はあの御曹司と島を出ていくに決まってる! 私達を置いていく人に謝らなきゃいけないなんて嫌!」
「はぁ、味方も何もお前のたった一人の兄貴だろ。俺だけはお前の側にいてやる」
修司は花梨ちゃん側に立つ。
晴臣さんから擦れ違いを解消するため、皆で話し合うべきと提案された時点でこの展開は読めていた。
どれほど強い絆も切れてしまえばバラバラになってしまう。薬が効いているはずの足首がじくじく痛む。
「お察しの通り、僕は奈美を島から連れ出します。彼女の母親の入院先や治療方針などは西園寺グループがバックアップするので心配は不要ですよ」
晴臣さんの語り口は崩れない。私と会話する時は言葉に感情が乗り、青い瞳も穏やかな光を宿すのに対し、今は決定事項を淡々と述べるのみ。
修司、私、花梨ちゃんの順で立ち上がる。各々が各々へ責任の矢印を向け、話し合いはさっそく暗礁に乗り上げた。
「“人魚の涙”を無くしたのと相殺になんかしないから!」
「無くしたのではなく捨てたのでは?」
晴臣さんだけは着席したまま。
「ふーん、先輩がチクったんだ?」
「わ、私はーー」
「やっぱり幼馴染より彼氏の方が大切なんですねぇ〜玉の輿、おめでとうございます!」
花梨ちゃんの刺々しさに私はショックを隠せない。そんな私をみ、花梨ちゃんが唇を噛む。
「花梨、おまえのやらかしをフォローして奈美は怪我したんだぞ? そこは謝るべきって決めたじゃないか?」
「兄貴は誰の味方? まだ奈美先輩の肩を持つ? 先輩はあの御曹司と島を出ていくに決まってる! 私達を置いていく人に謝らなきゃいけないなんて嫌!」
「はぁ、味方も何もお前のたった一人の兄貴だろ。俺だけはお前の側にいてやる」
修司は花梨ちゃん側に立つ。
晴臣さんから擦れ違いを解消するため、皆で話し合うべきと提案された時点でこの展開は読めていた。
どれほど強い絆も切れてしまえばバラバラになってしまう。薬が効いているはずの足首がじくじく痛む。
「お察しの通り、僕は奈美を島から連れ出します。彼女の母親の入院先や治療方針などは西園寺グループがバックアップするので心配は不要ですよ」
晴臣さんの語り口は崩れない。私と会話する時は言葉に感情が乗り、青い瞳も穏やかな光を宿すのに対し、今は決定事項を淡々と述べるのみ。