「青い目ねぇ……あっ! 奈美のおばさんと市場で話してたかも?」

「私のお母さんと?」

「うーん、詳しく見てねぇから分かんない。ただ見慣れない俺等ぐらいの奴が居たってだけ」

「島の子なら知ってるもんね。観光客かな?」

「さぁな? それより腹が減った! 俺のは甘口と辛口、混ぜてくれよな!」

 平皿へこんもり白米をよそい、甘いルーと辛いルーをかける。カレーは大人でも子供でもない私と修司を象徴していた。

 青い目の少年の話題は一旦消え、次に話題が出たのは海から上がった時だった。



 道が舗装されておらず自動車では進入できない、子供の身体でやっと通り抜ける場所を抜ければ秘密の遊泳スポットがある。

 その日の午後も私達以外は居なかった。

 遊泳用に整備されてはいない為、自然が剥き出され足場が非常に悪い。ビーチサンダル越しにごつごつした岩を感じるうえ、滑りやすくもあって。うっかり足を滑らせようものなら落下し、水面へ叩き付けられてしまう。

「飛び込み場所まであと少しだ、油断するなよ!」

 三人で中腰になり声を掛け合い、ゆっくり進路を取る。先頭は決まって修司。彼は妨げになるものを除去してくれる。

「花梨、大丈夫か?」

「うん!」

「修司がしっかり踏み締めてくれるから歩きやすいよ」

 信頼を寄せる声にリーダーは振り向き、はにかむ。同性のクラスメイトがいても修司は私達と常に行動を共にする。