「えー! じゃあ今日は泳げないの? 花梨、朝から水着きてるんだよぉ。お兄ちゃん来るのお利口にして待ってたのにぃ」
ペラッとシャツを捲って見せてくる。私と修司は顔を見合わせ、相談を開始した。
「まぁ、台風の上陸は明日以降とニュースで言ってたよ」
キッチンの小窓からは青空が覗き、嵐の気配はない。
「だな、さっと行って帰ってくればいいか? 親父は昼寝するし気が付かないと思う。それより花梨を泣かす方が叱られそうだし」
海へ行く選択肢を失えば宿題をするしかないだろう。嵐が迫っているとはいえ、夏休みが始まってすぐ勉強に取り組むほど私も修司も真面目じゃない。各々の母親がお尻を叩かいて宿題をさせるタイプ。
「花梨、王子様にもう一回会いたいなぁ〜お話してみたい」
「は? 王子様? なんだそりゃ。奈美がまた変な本を読ませたか?」
「もう! 変な本じゃないよ! 人魚姫の絵本を花梨ちゃんと読んだだけ。王子様っていうのは青い目をした人を見たみたい。海の方へ向かったらしくて、修司は会わなかった?」
会話しつつ、付け合せのサラダを盛る。花梨ちゃんも手伝ってくれ、ミニトマトを添えていく。
花梨ちゃんは可愛い、私にとっても妹のような存在ーーそう感じて柔らかな頬をつつくと、キャッキャッと身を捩り笑っている。
ペラッとシャツを捲って見せてくる。私と修司は顔を見合わせ、相談を開始した。
「まぁ、台風の上陸は明日以降とニュースで言ってたよ」
キッチンの小窓からは青空が覗き、嵐の気配はない。
「だな、さっと行って帰ってくればいいか? 親父は昼寝するし気が付かないと思う。それより花梨を泣かす方が叱られそうだし」
海へ行く選択肢を失えば宿題をするしかないだろう。嵐が迫っているとはいえ、夏休みが始まってすぐ勉強に取り組むほど私も修司も真面目じゃない。各々の母親がお尻を叩かいて宿題をさせるタイプ。
「花梨、王子様にもう一回会いたいなぁ〜お話してみたい」
「は? 王子様? なんだそりゃ。奈美がまた変な本を読ませたか?」
「もう! 変な本じゃないよ! 人魚姫の絵本を花梨ちゃんと読んだだけ。王子様っていうのは青い目をした人を見たみたい。海の方へ向かったらしくて、修司は会わなかった?」
会話しつつ、付け合せのサラダを盛る。花梨ちゃんも手伝ってくれ、ミニトマトを添えていく。
花梨ちゃんは可愛い、私にとっても妹のような存在ーーそう感じて柔らかな頬をつつくと、キャッキャッと身を捩り笑っている。