ねぇ、ミツル。

あの後、ミツルは車をおりた私に、夜の出勤日と勤務時間を聞いてきたでな。てっきり、飲みに来るときのことを考えてるんやと思ってた。

正直に答えると──

「じゃあ、これからは終わる頃に連絡して。今日と同じとこで待ってるから」

一方的にそう言うて、窓を閉め、慌ててる私を無視したまま車を走らせた。

ほんま強引やった。

あの頃の私は、流されてしまうことを弱く感じ、自分に嫌気をさすこともあってんけど、心のどっかでホッとしてた。独りじゃないって思えたから。

でも、ミツルが楽しそうに口説いてきてたのは、あの時期だけやったね。まだ知らんかったからやな、マコトの存在を。