「いちばん幸せなときに死にたい」


 それが、彼の口癖だった。




 微睡(まどろ)んだ世界は、いつも深い色をしている。



 いつからはみ出してしまったのだろう、私たちは。

 はっきりとは思い出せないけれど、少なくとも義務教育が終わったあたりから、すべてが狂い出したような気がする。



 きっかけなんか知らない。


 気づいたら適応できなくなっていた。

 煌びやかな世界に順応できなくなっていた。




 陽が出ている間、私は時間を持て余すようになった。


 そんなとき、出会ったのがキミだった。



 ただそれだけで、私たちはまるでそれが"運命"であるかのように、必死に手繰り寄せようとしたね。