【まほside】

「うぅううううっ…」

お兄ちゃんに酷いこと言っちゃったっ

花火行きたかったっ

お兄ちゃんに酷いこと言っちゃったっ

花火行きたかったっ

いろんな感情がごちゃごちゃして、目から涙がポロポロ溢れていく。

お兄ちゃん、きっと怒ってる…

怒っちゃったっ

お兄ちゃんが部屋を出て数分。

だんだん頭が冷えてきたのか、涙が徐々に引っ込んでいった。

あとでお兄ちゃんに謝ろう…。

勢いだけでつい口走ってしまった言葉を後悔した。

外では今もバンバン!ととめどなく花火が打ち上がっていく音が聞こえてきていた。

「まほ」

「…っ」

考えごとしてたからか、気が付かなかった。

いつの間にか部屋の扉は開いてて。

薄暗い部屋の中、お兄ちゃんが立っていた。

あっ…

謝らなきゃ…

慌てて口を開く。

「お兄ちゃんっ、さっきは​────きゃっ…」

言いかけたところで身体が宙に浮いた。

お兄ちゃんに抱き上げられたのだ。

「えっ…」

もしかして…

大嫌いって言っちゃったから、私のこと捨てる気じゃ…

今日孝宏さんも海外行っちゃったし…

私と2人で住むのに嫌気が刺したんじゃ…