すげぇ楽しみにしてたことぐらい…、知ってる。

「行きたいっ」

「だめ」

当初よりもだいぶ良くなったとはいえ、このまま行かせて倒れたりでもしたら大変だ。

行かせてやりたい気持ちもあるけど、万が一のことも考えると止めるしかなかった。

「うぅ〜〜っ…」

あー。とうとう泣き出した…。

「また来年行けばいいだろ?」

「クラス変わっちゃうもんっ…、ぐすんっ」

その時。

窓の外でバン!と大きな音が鳴った。

花火だ。

もう始まったのか。

「あっ…、花火っ……」

無情にも鳴り続ける花火の音。

この立地じゃ、花火自体はよく見えないけど窓の方に視線だけ向け寂しそうに眉を下げていた。

それでも、まほはめげずベッドの上でちょっと状態を浮かしたりなんかして見ようと試みているようだった。

やがて、全然見えないことに苛立ってきたのかまほがムスッとして布団を頭まですっぽり被った。

「もうっ、お兄ちゃん嫌いっ!!!」

あまりに外出を止められたもんだから、とうとう怒りの矛先を向けられてしまった。

なんだよ。

こっちはお前が心配で言ってんのに…。

「うぅうぅううぅっ」

「…」

「うぅ〜〜〜っ」

「…」

それからまほは布団の中でわーわー泣き始めてしまった。

…楽しみ……だったんだもんな。

「…」

俺は静かに部屋を出た。