ん?

名言らしきものが浮かんだところで俺は考えた。

今日、親父が海外に行った。

しばらく家には戻らない。

つまりしばらく家にはまほと2人きり。

「…」

事実を整理して、ハッとした。

なんかこの状況、同居みたいじゃねぇか…!!

よくよく考えりゃ、そうだよ…。

そう思ったら、急にウズウズしだしてよく分からない感情に苛まれた。

***

「だめ!!」

「やだー…行く…。行きたい…」

「まだ熱あるだろ」

ピピーピピーッ……

「あ、ほらー。まだこんなにある」

体温計が示したのは38度。

まだまだ回復まで時間がかかりそうだった。

​────今日はこの街で1番大きな花火大会の日。

さっきまでは大人しくしていたのに、急に思い出したようにぐずり出したのだ。

「はなび…っ」

「あ、ダメだって。まだ全然治ってないだろ」

無理矢理ベッドから身体を起こしたので、再びベッドに連れ戻す。

「だって……っ」

「クラスのみんなで行く、約束してんだろ?」

知ってるよ、そんくらい。

ーー土曜日クラスのみんなで花火大会行くの!めっちゃ楽しみ!!

ーーへぇー、良かったじゃん

ーーうんっ!!