簡単に振り解いてしまえそうなほどか弱い力で服をギュッと掴まれる。

あーーーーーーーーー!もう!

理性ぶっ壊す気か…っ!!

「だいすき」

飽きることなく何度もそう伝えてくるまほは俺の胸にすっぽりおさまっている。

うるうるした目で見つめられて、いよいよ制御ってもんが働かなくなっていく自分がいた。

うとうとするまほの小さな唇にゆっくり、触れる。

あと…

数ミリ…

数ミリで…唇が触れる。

慎重に顔を近づけ…、目を瞑ろうとした矢先。

「響ー。まほちゃん具合どうだー?」

親父が部屋に入ってきて、直前で首の角度を変えた。

あっぶねーーーー…。

そうだよ、この家親父いるじゃん…!

ここで俺が手なんか出してみろ…

いろいろ丸聞こえだぞ!!

内心ヒヤヒヤしながら平常心を装って答える。

「あ、あぁ、いい感じだよ」

「そうか」

いい感じって、なんだよ俺!

我ながら誤魔化し方がど下手くそで笑えてくる。

って!!

俺がこんなに必死に取り繕ってるって言うのに。

なんでこいつはまた呑気に寝てんだ!!

煽るだけ煽っといてずるい逃げやがった!
もう!!

俺ばっか焦って最悪だ!この野郎!!