今は、まほで頭いっぱいなんだよ…、なんて照れくさくて言えるはずがなかった。


「はい」

『もしもし、突然すみません〜…、桜ヶ丘東中学の者ですが、星川まほちゃんのお兄様のお電話でお間違いなかったでしょうか?』

屋上を出て、教室に向かう最中のこと。

まほの中学から電話があった。

「そうっすけど」

また、喧嘩でもしたのか?

最近はきあらちゃんといい感じに仲良くなってたのに。

あー、泣いてないといいけど。

またかよ、と思いつつ、心配が勝ってしまった。

いろいろ考えていた俺だったが、要件は予想外だった。

『実はまほちゃんお熱出ちゃって…、もし可能でしたら本日お迎えを……』

「熱!? 何度ですか!?」

『39度は…、いっちゃってますね……』

「39度!?すぐ行きます」

電話を切ってすぐ中学に直行した。

***

「響様!こんにちは!」

前と同じく、保健室に案内されるときあらちゃんが目を輝かせて俺に近寄ってきた。

どうやらまほに付き添っていてくれていたらしい。この子、すげぇグイグイ来るんだよなぁ。

「あ、きあらちゃん。こんにちは」

「こら!春日野さん!教室戻りなさい!」

「はい…」

付き添ってくれてた訳じゃなく、きあらちゃんはどうやら勝手にここに忍び込んだみたいで養護教諭の先生にすぐに追い出されていった。