弁当を覗き込もうとした三波に背を向けて、大急ぎで弁当に蓋をした。

「えー?なんでよ。見せろって」

「だめ!!」

「えー?」

*数分後*

「おー。これは…、愛妻弁当ってやつ?」

俺の必死の抵抗じゃ叶わず、知りたがりの三波は颯爽と俺の弁当を奪い、中を確認した。

俺が必死に隠そうとした弁当。

卵焼きや、昨晩のおかずだった佃煮。

そこの辺りは至って普通の弁当。

しかし問題は白米の上にあった。

そこには

‪”‬お兄ちゃん大好き!‪”‬

と。

なんとも器用に切り抜かれたノリが乗っかっていた。

あ〜〜〜〜〜〜…

朝からなんてもん作ってんだよ。

「なんか響嬉しそうじゃね?」

「はっ、はぁ!?嬉しくねぇし!」

「でもほっぺた上がってるぞ?」

「上がってねぇよ!」

…多分上がってしまっている、ということは自覚していた。

三波に見られたのは不本意だが、こんなん…、嬉しくないわけないだろ…。

まほがうちに来てから散々だ。

調子が狂いっぱなしだ。

こんな可愛いもん作ってんじゃねぇよ!

嬉しいだろ……!

朝早く起きて、俺のこと思ってこれ頑張って作ってくれたのかな、とか思うとなんか泣ける。

うん、泣ける…。

不覚にも目に涙が滲み始めた。