もうそっちのことは全くもって分からず…、未知の領域なので1からあれこれ教えてもらっていた。

きあらちゃんの中でお兄ちゃんは恋愛の対象からすっかりに推しという存在になってくれたみたいで、今は私とお兄ちゃんの恋を応援してくれている。

「うーん。もっと情熱的なのの方が燃えるんじゃない?」

「じっ、情熱的?? たとえば…?」

「これとか?」

そう言ってきあらちゃんが手に取ったのは、赤色にレースがヒラヒラとつけられたブラジャー。

まさに情熱の赤だ。

「そっ、そんな派手派手でいいの??」

ドン引きされるんじゃ…

「こんぐらいの方がたかが外れていいんだって!!」

「えぇ〜〜…」

「だって、今まで何人もの女性を抱いてきたかもしれない響様だよ!? いまだかつてないほどに情熱的な夜にしないと記憶に残らないよ!?」

「記憶に…」

「残りたいでしょ!?」

グイッ!と顔を近づけてきて、圧をかけてくるきあらちゃん。

「残りたいです!!」

まるでスパルタ教育だ。

そうして、私は人生で初めてブラジャーを買った。

いずれくるであろうその日に備えて…