「迷惑ばっかかけちゃった…っ!晩御飯作って役に立ちたかったぁっ…」

…んだよ、そんなことかよ……。

誰が捨てる、って言ったよ。

誰がひとりぼっちにする、って言ったよ……

その時。

俺の中で、ある気持ちが芽生えた気がした。

まほの震える身体をギュッ、と抱きしめ返す。

こいつがうちに来てから、面倒事が増えた。

勝手に人の布団侵入しやがって…

挙句の果てには、サツだの学校だのどんだけ保護者呼び出すんだよ。

俺、高校生だぞ。

一応暴走族の総長だぞ。

威厳ってもんがあんだよ!

思春期ってもんがあんだよ!

正直むっちゃ恥ずいんだよ!

……こいつは、面倒事ばっかうちに運ぶ、とんだ迷惑な奴だ。

すぐ人のあとちょろちょろついてきて引っ付いてきて、鬱陶しい奴だ。

でも​───────…

「ぐすんっ……」

​───────…傷付けたくない。

気付けばそんな気持ちに苛まれていて。

ーー((お兄ちゃん!!見てっ!かわいい?))

どうしようもなく……

ーー((お兄ちゃん。お腹すいた))

どうしようもなく…


こいつが愛おしく感じた。


俺は、ポケットに手を突っ込んだ。

「いいか?」

そうして俺は、くたくたくまさんを取り出して、まほに見せた。