ポロポロ涙を流しながら、ムクッ、とソファから起き上がったまほ。

そのままどこかに走って行こうとしたので、慌てて手首をつかむ。

「おいっ、急にどうしたんだよっ、ここ家だろ?」

「はぁっ、はぁっ……」

「おいっ、まほ、一回落ち着け」

「……っ、だれ…っ、ごめ…っ、ごめ、なさ…っ、おうち……っ、おうち帰る…っ!!ぱぱ…っぁ」

「あっ、ちょっ……っ、まほ!?」

掴んでいた手を強引に振り払われて。

かと思ったら、力なく地面にしゃがみ込んでしまった。

小さく丸まって、まるで見えない何かに怯えるように両手で頭を押さえていた。

「まほ…っ、大丈夫か?」

顔をのぞきこんで、尋ねる。

ゆっくりと視線が絡んだ。

そこでようやく安心したような、でもちょっと不安そうな顔をして、俺に抱きついてきた。

「お兄ちゃん…だっ…」

ーーギュッ…

夢のせいで混乱してたんだろうか。

「まほ……。大丈夫、か?」

ぎこちなく手をまほの背中に持っていく。

すると、コトン、と俺の肩に頭を落としてきた。

「お兄ちゃん……」

「ん?」

途切れ途切れに、まほはこう言った。

「………私、だけ、血…繋がってない…」

「血?」