回し蹴りして、夢中で男たちを殴るお兄ちゃんはかっこよくて、ついぼー、と見入ってしまった。

次々に地面に倒れ込んだ男の人達。

みんな白目を向いていてほっぺが赤くなっていた。

「まほ…っ!大丈夫か!?」

完膚なきまでに男達をやっつけたお兄ちゃんは、すぐに私のそばに駆け寄ってきてくれた。

「うん……っ」

両手で包み込むように私の輪郭を持って、グイッと優しく上に上げられた。

「ほんとか!?」

ベタベタ触って、私の顔に傷がついてないか見てくれてる……?みたいだった。

「ちょっと……、頭ぶつけちゃっただけ…っ、大丈夫だよっ」

本当はまだちょっと怖くて心臓がドクドクしてるけど、笑顔を作った。

でもお兄ちゃんの眼差しはなんだか真剣で、いつまでも私を離してくれない。

「頭!?気持ち悪くないか!?」

「うんっ」

目の前にいるお兄ちゃんの存在にほっとして、ポロ…と涙が零れた。


‪”‬いつ捨てられてもおかしくないよ〜‪”‬


「…っ」


……ギュッ、とお兄ちゃんに抱きついた。