あっという間にその男達に囲まれて、じりじりと壁に追い込まれた。かと思ったら

「え…っ、あっ……」

直後。抵抗する間もなく、1人に髪の毛を鷲掴みにされて、ガン!と頭を壁に思いっきり押し付けられた。

「ぅっ……」

勢いよく壁に頭を打ち付けた衝撃で目眩が襲う。

いった…っ

激痛に顔を歪めて、目をギュッ、と閉じた。

「拉致る?」

「だな、暇つぶしにはちょうどいいわ」

そんな声が聞こえて、咄嗟に逃げようとしたけどすぐに両腕を2人がかりで捕まれ、簡単に私の身体は宙に浮いた。

「やめっ……、離してっ」

足をバタバタさせて逃れようとするけど全然力じゃかなわなかった。

「誰かーっ!お兄ちゃーん!!…んっ」

「妹ちゃん。ちょっとうるさいよ」

「んーっ!!」

大きな手で口を塞がれて、声が上手く出せなくなってしまった。

その途端頭が真っ白になって、上手く呼吸が出来なくなった。

どうしよう…っ

「んっ…っ、」

私が勝手に家出たから……っ

お兄ちゃん…っ!!!

お兄ちゃ───────…

「グハッッ……」

その時。

鈍い音が辺りに響いて。

……かと思ったら、

「きゃっ…」

体に衝撃が走った。

どうやら地面に叩き落とされたようだった。

「……おい、そいつから離れろ」

聞き馴染みの声が聞こえてきて、顔を上げるとお兄ちゃんがいた。

安心からか、目に涙が滲む。

「お兄ちゃ……っ」

「うっ…、グハ……ッッ」