三波は俺の家にまほが来たことを知っているが、それ以外の仲間は知らない。

てか言うつもりもない。

そんなん言ったら総長としての威厳が損なわれちまう!

「それより狂乱火の動きはどうなった?」

コサージュを外しながら、尋ねる。

「あっ、そうだそうだ」

すぐに三波もそっちに意識を向けてくれたようで助かった。

「情報屋によるとさ、また仲間集めてうちを潰そうとしてる、とかなんとか」

狂乱火は半年前にうちが潰した暴走族。

そこで向こうは解散して、抗争は終わったはずだ。

「なんでまた突然…」

「分かんね。まだうちに恨みでもあるんじゃねぇの?」

「はー、めんど」

「もっ!もし!そいつらが攻めてきても!俺、全身全霊で戦いますから!!」

そう意気込んだのは、少し前に弟子入りした久音だった。

そしてそいつの声を境に次々に闘争心をあらわにした下っ端達の声が続く。

「”‬Tired Bear‪”‬の本気見せたりましょうよ!」

「そうですよ!」

「響さんがいる”‬Tired Bear‪”‬は無敵です!」

倉庫内が一気にガヤガヤと騒がしくなる。

と、その時だった。

「総長!」

「なんだ」

「外に怪しい女が!」

「……怪しい女?」

さっそく狂乱火の差金かもしれない。

「連れてこい」

「はい…!!!」