まほがうちに来て数日が経った。

「響!まほちゃん知らないか!?」

バン!と勢いよく扉が開けられて、親父が部屋に飛び込んできた。まだ朝の6時半だ。

片手にはフライパンが握られている。

「んー、ここにいる」

ペラっと布団を捲り上げて、親父に見せる。

そこには俺のお腹に寄生虫の如く張り付いて気持ちよさそうに眠っているまほがいた。

昨晩11時過ぎ辺りだろうか。

勝手に俺の部屋にやって来て、勝手に俺の布団に侵入して来たのだ。

そして内臓が締め付けられるレベルでピットリとしがみついてきた。

「はぁ〜、なんだ。部屋起こし行ったらいないもんだからびっくりしたよ」

多分また家を飛び出して迷子にでもなったんじゃないか、と焦っていたのだろう。

あの日も、帰宅早々まほちゃんは大丈夫なのかとかあれこれ質問攻めにあったことを思い出す。

「仲良いのはいいことだが、響。そろそろ時間だから起こしてあげて」

「別に仲良くねぇし!」

親父が出て行った後。まほの頬をぷにぷにとつつく。

「おい。起きろ」

「…っ、やぁっ…」

やぁっ…、じゃねぇよ。

エロい声出しやがって。

「うっ…」

さらに腹にしがみついてきて、足を絡ませてきた。

俺の胸板に頬をすりすりしてきやがる。