***

あーもう!

せっかくいいとこだったのにお兄ちゃん寝ちゃった……。

「お兄ちゃんてば!キスは!?」

「……」

揺らしても起きない。

「もうー!置いてっちゃうからね!」

お預けを食らったみたいだった。

ほっぺを膨らませてぷんっ、と拗ねるがお兄ちゃんは寝ているのでそんな私の拗ねは届かない。

「もうっ、ばいばい!」

一人ぼっちでこたつに取り残してやるんだから!

せっせとこたつから出ようとしたその時。

「んっ……」

「…っ」

さっきまで一方的にお兄ちゃんにしがみついてたけど今度はお兄ちゃんが私の身体にしがみついてきた。そして寝言を零す。

「ん……、くたくた…まほさん……」

「……っ」

また言ってる……

最近のお兄ちゃんは寝言でよくこれを言う。

‪”‬くたくたまほさん‪”‬

と。

少し前私にくたくたくまさんくれたけど、本当は寂しいんだと思う。


『いいか?くたくたくまさんは学校に持っていったらダメだからな。学校という場所は恐ろしい場所でくたくたくまさんの魅力にやられて、奪おうとする輩がうじゃうじゃいる。学校に行っている間は家に置いておくこと』

くたくたくまさんを譲り受けたあの日。

長い長い説明を受けた。

きっとずっとすごく大切に持っていたんだろうな。

「ふふっ……」

仕方ないからもう少しいてあげる。


結局このままこたつで眠ってしまい、

後日2人して風邪をひくことなどこの時の私はまだ…





思いもしなかった​───────。

【 · · • 星川 響 ♡ 星川 まほ • · ·】