プンスカしながらお兄ちゃんの後に続いて家に入る。

「あ? お前の方がバカだろ!留守番ぐらいちゃんとしろ!」

「してたもん!私はちゃんとし…っ、うっ…っ、」

でも張ってた威勢がだんだん取れていく。

そして糸がプツリと、切れたみたいに泣いた。

「うぁーーーっ、優しくしてよーーっ、ぐすんっ、久音くんの方が優しかったああ…っ」

「また泣くのかよ……泣き虫」

「わあああっ!ひどい!私のこと、大好きなくせに!!」

留年しちゃうくらい必死に探してたならもうそれはそれは大好きで大好きでたまらないはず!

「それはそっちだろ!」

「なんでそうなるの!」

リビングにズカズカと入ると、お兄ちゃんの手に何かが握られていることに気付く。

そして気まずそうに頬を染めながらそれを私の前に持ってくる。

「じゃあこれなんだよ…」

「はっ!!」

目に入った途端、ピタと時が止まった。

それはいつかの放課後。

きあらちゃんと訪れたランジェリーショップで購入した、私の人生初ブラジャーだった。

それも情熱の赤。

性知識がまるでない私にきあら大先生がオススメした代物だ。

お兄ちゃんが高校でモテモテで、軽く2桁を超える女の子と関係を持っているんじゃないか、と急に不安になりいそいそと買ったことを思い出す。

「こんなエロい下着……なんで持ってんだよ」

「ちがっ、それは…っ」

「何がどう違うの?」