三波くんが呟く。

「さすが金持ちのボンボン…あいつ……やっぱちょっと良い奴なんじゃね? あ、クーポン券も入ってるぞ」

「いっ、良い奴な訳ねぇだろ!」

「まぁ反省してるっぽいし、もう水に流してあげなよ」

「やだね。絶対やだ」

「じゃあこのプリン食べないの?」

「それはもらう」

「素直じゃねぇなー」

2人の言い争いを聞きながら私は目の前の大量のプリンに目を光らせていた。

久音くんそんなにお金持ちだったんだ…

「でもさ、ずっと引っかかってたんだけどよ」

「?」

「俺らずーっと、まほちゃんのこと探してたのに1年は手がかり1つ出てこなかっただろ? なのに急に色々情報出てきてさ。…なんかおかしくない?」

「おかしい、ってなんだよ」

何かが気になっている様子の三波くんが自身の顎先に手を当てて唸っている。

「んー、いや、憶測だけどあいつ自身誰かに止めて欲しかったんじゃねぇのかなって」

止めて……欲しかった??

三波くんの言葉が妙に浸透する。

「だってあいつ財前グループの息子だぜ? 隠そうと思えばもっと厳重に、それこそまほちゃんと海外とか行って絶対見つからない場所に居ても良かったのにさ。案外自分の居場所に関する情報バラしたのも久音だったりして」

「確かに……」

そう言われると、疑問だらけで頭がいっぱいになっていく。

「いや、んなわけねぇだろ? 俺のこと刺そうとしたんだぜ? あいつ」

あ……