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「遅くてごめんねっ」

「ゆっくりでいいって」

「うん!」

まだ怪我が完治していない為よちよち歩きのまほを補助しながら俺たちは屋上に向かっていた。

気分転換になればいいと思って、俺から誘ったのだ。

久音が自分に会いに来てくれないこと。

口には出さないがやっぱり時々悲しそうな顔してるからきっとまだ引きずっているんだと思う。

「わっ!」

エレベーターに乗る手前。

バランスを崩し、よろけたまほの身体は俺の胸にポフッ、と飛び込んで来た。

すぐに「ごめんねっ、よいしょ」と言って俺から離れてったのがなんか嫌で、まほの身体をグイッと引き寄せた。

「捕まっていいから。俺に」

まだお互いどうしても遠慮しい感じが否めないけど、少しづつでも歩み寄って、また前みたいな距離感になっていけたらいいと思っていた。

***

エレベーターの扉が開くとそこは屋上。

薄曇りの空が出迎えてくれた。

「やっと着いたっ」

隣で嬉しそうに頬を緩めるまほに、心が和んでいく。

屋上には誰もいなくて、貸し切り状態だった。