何度も謝っていた。

その謝罪は、‪”‬まほ‪”‬に向けてなのか”‬沙奈ちゃん‪”‬に向けてなのかは、分からない。

でも、きっと身勝手に‪”‬沙奈ちゃん‪”‬を押し付けたことを反省していると思う。

‪”沙 奈 じ ゃ な い‪”‬

何度もそう繰り返している姿を見て、思った。

ーーあの日。

‪”‬Tired Bear‪”‬は狂乱火のアジトを襲撃した。

そっちは三波と下っ端の奴らに任せていて、狂乱火の奴らが襲撃に気を取られているうちに俺は1人。まほと久音が住んでいるであろう場所に向かったのだ。

当てずっぽうみたいな所はあったが、目星を付けていた財前グループの管理する土地。

そこを徹底的に調べ、それらしき山奥に別荘を見つけたのだ。

誰かを、隠すのなら……うってつけの場所だと思った。

案の定、そこにまほはいて。そして今、こうして俺の手が届く場所にいてくれている。

でも

今、こいつのそばにいるべきなのはきっと久音なんだろうな、と思いながら寄り添う時間はどうにも複雑だった。


その日は、ずっと泣いていて。

まともに会話出来なかった。

でも翌日になるとだいぶ落ち着いたようで、向こうから話し掛けて来てくれた。

「悪者さん…まほちゃ……、見つかった??」

まほが泣き腫らした目もこちらへ向ける。

改めて、自分は悪者さんなのか、と思わず苦笑してしまった。

きっと久音にそう教えられたんだろう。