腕まくりしようとした手が止まる。

確かに俺を見据えるその目は、やたら光り輝いていて拍子抜けした。

「弟子にして下さい!」

90度。

いや、それ以上に頭を深々と下げると畳み掛けるように「お願いします!!」と連呼した。

「だとよ、どうする? 響」

三波が最終判断を俺に求めてくる。

ったく…、三波の野郎、変なの連れてきやがって。

「憧れてた、ねぇ…。こーいう奴胡散臭いんだよなぁ。怪しいっていうか」

「けっ、決して怪しい者ではありま​────」

「そりゃ、怪しいもんが僕は怪しいもんです、って言う訳ねぇだろ」

他の族がよこしたスパイかもしんねぇ。

「おい、三波。つまみだせ」

「はいよー。久音くん。ダメだって。残念」

慰めるように三波がそいつの肩をトントンする。

背を向けて足を踏み出した時。

「じゃあ…っ!!」

覚悟を決め、腹を括ったかのような力強い声が倉庫内に大きく響き渡った。

「今ここで…っ!!服を脱ぎます!!」

「・・・」

は…?

「そうしたら、僕が怪しい者じゃないって信じてくれますよね!?」

振り返れば、まだ春先だって言うのに額に汗を浮かべて必死の形相で俺を見つめていた。