地面にぽたぽたと落ちる涙にどうしてか胸がギュゥ…と締め付けられる。

実際も背中に回された腕に惜しむことなくギュッ、と力が込められて、内蔵が締め付けらちゃうくらい強く、強く、包まれる。

「無事でよかった……っ」

なんで泣いてるんだろう……

「ずっと探してたんだぞ………」

探してた……?

「……トイレを、ですか?」

「違ぇよ……腹痛いの嘘だって」

「嘘!?」

え、なんでそんな嘘を……?

はっ!

まさかこのドアを開けさせる為に!?

私を攫って人身売買する為に……!?

抱きしめられていたのが解放されたかと思ったら、今度は腕をパシっ、と掴まれた。

「まほ、俺と一緒に家帰ろう。な?」

ただ真っ直ぐに。

どこか懐かしそうに私の顔を見つめる悪者さん。

でも……

「やだっ! 離してください!」

「あ、おい!」

掴まれていた腕を振りほどいて家の中に戻ろうとする。

でも力の差じゃ、かなわなくて呆気なくまた腕を掴まれてしまった。

「まほ…っ」

「だから私まほちゃんじゃな……っ、きゃっ…」

振りほどこうと思いっきり身をよじったのがいけなかった。

「いたっ…ぁ」

コケた。

盛大に。

「大丈夫か!?」