「誰ですか!」

声を張り上げて、聞いてみる。

その声はドア越しに向こうに届いたみたいで、一瞬の静寂ののち、また声が聞こえてくる。

「まほ…?まほなのか!?」

「ううん!まほちゃんじゃないけど…」

もしかして、昨日外行った時に会った悪者さんかな?

「頼む…っ、ここ開けてくれ」

「えー…、やだ。久音くんに怒られちゃうもん…」

…そもそも内側からは開けられないし。

っていうか悪者さん、なんでこんなとこにいるんだろう。

もしかして、私のこと攫おうとしてる??

そしてもっと上の悪い組織に売ろうとしてる??

え。だったらどうしよう…。

そう考えたら急に怖くなった。

久音くん!早く帰ってきてよー…

「くそっ…、どうすりゃいいんだよ」

向こうからドン!とドアを叩かれ、肩が跳ねる。

なんかこの人怖いよー……

どうしたらいいか分からず、とりあえずベッドに戻ろうと忍び足でゆっくりと玄関を去ろうとした時だった。

「うっ……」

ドアの向こうから苦しそうな声が聞こえてきた。

「……ぅ…」

「悪者さん? どうしたの…っ?」

またドアに近づいて耳を澄ますと…

「腹が……痛てぇ…」

「えっ!? お腹が!?」