「卑怯、ですか? 侵害だな」

その時。

久音がポケットから光るものを取り出し、それをまほの頬に当てたのだ。

「おい!!」

まほ…っ、

刃先に沿って、まほの頬に血が滲んでいく。

「やめろ……っ、、」

こうして傷付けられる姿をただ、見ていることしか出来ない自分が情けなかった。

「ヘタな真似したら、どうなるか分かってますよね?」

まほの頬からポタポタ、と血が垂れていく。

くそっ……

「…………分かった」

頷くしか…なかった。

「もう二度と僕達に近付かないで下さい」

***

帰り道。

久しぶりに見たまほの姿に、底知れぬ安堵が込み上げてきてならなかった。

久音に対しての強い怒りもある。