ずっと八方塞がりだったが、三波がこの情報を持ってきたことはでかかった。

これがきっかけで事態は大きく動いた。

芋蔓式にあれこれ分かっていき、やっと久音の目撃情報を仕入れた。

そして片っ端から探し回った先で、

まほはいた​───────。

「おい、響!あれ……!」

もう誰も住んでいない取り壊し予定の古いアパートのそばを横切った時のこと。

三波が足を止めたのは、その隣にある公園だった。

信じられなかった。

今。俺の目の前に……まほがいる。

心臓が止まりそうになる。

たちまち、込み上げてくるのは喜びと安堵だった。

なのにものの数秒後には、

「ううんっ…、違うよ!私、沙奈だもん!」

ただの衝撃に変わっていた。

沙奈……?

何言ってんだよ……

俺が見間違うわけない。

どれだけお前と一緒にいたと思ってんだよ。

お前はまほだ。

誰がなんと言おうと、絶対そうだ。

いなくなってから、ずっと血眼になってまほの行方を探していたんだ。

絶対連れ戻す……。

連れ戻して…また前みたいに一緒に暮らすんだ。

ーーそんな毎日が、必ず来ると信じていた。

なのに……、やっとの思いで見つけ出したまほは、俺の顔を見ても……、あの頃みたいに…

ーーお兄ちゃんっ

嬉しそうな顔ひとつしない。

抱きついてこようとも…しない。

むしろ不審そうにこちらを見つめているだけだった。