「俺、お前のパパじゃないんですけど」

「…っ、」

笑顔でいたかった…

新しいお家ではあんまり泣かないようにしようって…、思ってたのにぃ…

せめてもの抵抗で下がりきった口の端にグッと力を入れる。

でもすぐにへにょっと下がってしまった。

「うぅぅうぅうぅう〜〜っ…」

とうとう堪え切れなくて、あまりに情けなくて弱々しい声が出た。

しょうがないじゃん〜〜っ…

もう食べちゃったんだもん〜〜っ…

もうお腹の中だもん〜〜っ…

身を隠すようにブランケットを赤ずきんちゃんのように頭まですっぽり被って地面にしゃがみこんだ。

そしてダンゴムシみたいに小さく丸まる。

「うぅうぅう〜〜っ」

「あー、めんど」

心底ダルそうに放たれた言葉に、また涙が込み上げてくる。

響くん、すごい意地悪…っ

やだっ…!嫌い!!

「もういいもんっ!!!」

そのままむくっと立ち上がって、赤ずきんスタイルで家を飛び出した。