「はい。どうぞ」
「わぁ!美味しそう!」
やがてモコモコと湯気を纏うケチャップでニコちゃんマークが描かれたオムライスが2つ運ばれてくる。
小さなテーブルを2人で囲んで手を合わせた。
「いただきますー!」
スプーンですくって、一気に頬張る。
「んーっ、ほいひぃっ」
ふわふわの卵に包まれたケチャップライスが口の中いっぱいに広がっていく。
「はは、良かった。でももう少しゆっくり食べな」
そう言って久音くんは私の唇の端についたケチャップを取ってくれた。
「うん!」
ーー君の名前はね…、沙奈だよ。
目が覚めて、記憶が何もなかったあの日。
久音くんは泣いてた。
きっと、すごく心配掛けちゃったんだと思う。
もう二度とあんな顔して欲しくない……。
私達の両親が死んじゃってからは、ずっと久音くんが私の面倒を見てくれてたみたいだし、きっと私の人生で久音くんといた時間が1番長いんだと思う。
沢山一緒にいたのに……忘れられちゃうのは、私が思うよりずっと悲しいことのはず。
だからこそ、1日でも早く記憶を取り戻せるように頑張りたいと思って、日々生きていた。
────そんな平凡な日々はそれからも長く続いて。
気が付けば季節は夏から秋、秋から冬へと移り変わっていた。
「わぁ!美味しそう!」
やがてモコモコと湯気を纏うケチャップでニコちゃんマークが描かれたオムライスが2つ運ばれてくる。
小さなテーブルを2人で囲んで手を合わせた。
「いただきますー!」
スプーンですくって、一気に頬張る。
「んーっ、ほいひぃっ」
ふわふわの卵に包まれたケチャップライスが口の中いっぱいに広がっていく。
「はは、良かった。でももう少しゆっくり食べな」
そう言って久音くんは私の唇の端についたケチャップを取ってくれた。
「うん!」
ーー君の名前はね…、沙奈だよ。
目が覚めて、記憶が何もなかったあの日。
久音くんは泣いてた。
きっと、すごく心配掛けちゃったんだと思う。
もう二度とあんな顔して欲しくない……。
私達の両親が死んじゃってからは、ずっと久音くんが私の面倒を見てくれてたみたいだし、きっと私の人生で久音くんといた時間が1番長いんだと思う。
沢山一緒にいたのに……忘れられちゃうのは、私が思うよりずっと悲しいことのはず。
だからこそ、1日でも早く記憶を取り戻せるように頑張りたいと思って、日々生きていた。
────そんな平凡な日々はそれからも長く続いて。
気が付けば季節は夏から秋、秋から冬へと移り変わっていた。