あたしが警察官と知って安心したのか、女性は大きく深呼吸してから自分の名前を名乗った。

女性の名は橋本紀子。
御主人と共にこの周辺の別荘の管理人をしているという。

「あそこで清水さんが倒れて…」

紀子さんはカーブの終点あたりを指した。

「レミ、誰か倒れてる」

いつの間にか背後で傘をさしていた達郎が、手にしていた懐中電灯でそこを照らした。