「俺はリセが欲しい、エスメラルダはディアマンテとの縁が欲しい。ただ利害が一致しただけの事」
「……では、『エスメラルダと、ディアマンテのために』と仰ったのは」
「エスメラルダのためでも良いから、リセに頷いて欲しかった。リセを手に入れられるのなら」
偽りのないクルトの言葉が、リセへと真っ直ぐに届いた。彼の『国のため』という言葉は、リセを手に入れるための手段だったと。
彼が望んでくれたから。
何も無かったリセにとって、それが大きな自信となった。胸に灯った自信は、固くなっていたリセの心を溶かして……みるみるうちに、暖かいもので満たしてゆく。
これまでで一番の笑顔を浮かべたリセに、クルトの瞳は奪われた。
昔と変わらぬ、柔らかな微笑み。
リセは知らない、それがどれだけクルトの心を癒したか。
がたごとと揺れる馬車。
もっとフォルクローレ家の屋敷が遠ければいいのに。
思わずそう願ってしまう、帰り道だった。
「……では、『エスメラルダと、ディアマンテのために』と仰ったのは」
「エスメラルダのためでも良いから、リセに頷いて欲しかった。リセを手に入れられるのなら」
偽りのないクルトの言葉が、リセへと真っ直ぐに届いた。彼の『国のため』という言葉は、リセを手に入れるための手段だったと。
彼が望んでくれたから。
何も無かったリセにとって、それが大きな自信となった。胸に灯った自信は、固くなっていたリセの心を溶かして……みるみるうちに、暖かいもので満たしてゆく。
これまでで一番の笑顔を浮かべたリセに、クルトの瞳は奪われた。
昔と変わらぬ、柔らかな微笑み。
リセは知らない、それがどれだけクルトの心を癒したか。
がたごとと揺れる馬車。
もっとフォルクローレ家の屋敷が遠ければいいのに。
思わずそう願ってしまう、帰り道だった。