というわけで、朝からリセはくたくたに疲れ切っていた。これだけ視線を集めていても平然としているクルトはさすが王族だ、凄すぎる。

「クルト様は、お疲れではないですか」
「いや、楽しい」
「そうですか……」

 エスメラルダ王国の授業が楽しいのだろうか、それともこのように視線を集める状況を楽しんでいるのだろうか。
 まあ……楽しいのなら、なによりだ。

「リセ、昼食はなんだ」
「ええと……学園の管理棟に食堂がありますので、本日はそちらへご案内いたします。もしクルト様のお口に合わないようでしたら、またグラナード殿下へ御相談するとして」
「リセはいつも何を食べている?」
「私は、いつも食堂のランチです」
「では俺も毎日それでいい」

 リセは拍子抜けした。実は悩んでいたのだ。学園生活とはいえ、王子であるクルトを食堂などへ連れて行って良いものかと。

「それではクルト様、参りましょうか」
「ああ」

 リセが先を歩き、その後をクルトがついて行く。生徒達の視線の中、リセとクルトはまるで従者と主人のように食堂まで向かったのだった。