紗奈の忠告を聞いて、数十分後。



私は一人で帰り道を歩きながら考えて込んでいた。



一葉さんの厄介ファンか……。



彼女たちにはまだお目にかかってないし、今後も別に会いたくないけれど。



一葉さんに関わった人をいじめてくるんでしょ?



完全に少女漫画によくいる、ヒロインへの嫉妬に狂ったモブ女じゃん……。



人に嫌がらせするよりも、自分から一葉さんに話しかければいいじゃん。



まあ、そんな勇気がないから、他人を(しいた)げる方向に突っ走るんだろうけど。


と、心の中で呟きながら、自宅マンションがある通りへの角を曲がろうとしたちょうどその時。



何やら低い声でボソボソと話をする声が聞こえて来た。