「や、別に……。ただの知り合いだけど……」



たじたじとしながらも、正直に質問に答えたとたん。



「ええ~~っ⁉ 嘘でしょ⁉」



という女子たちの大絶叫が、教室中に響き渡った。



「昨日、一葉さんの車に乗せられてたのに⁉」



「そうだよ! 大河さんにお姫様抱っこしてもらってて、『ただの知り合い』だなんてあり得ない!」



押し寄せる女子たちの一人に、『あり得ない』とビシッと力強い声で言われたとたん、反射的にギクッとする。



……鋭いな。



たしかに、私がただの一葉さんの知り合いだったらというか。



私が『桐生ひよりかもしれない』という疑いさえ持たれなければ、昨日の校門前での出来事は起こらなかったはずだろうし。



「まあ、とにかく……みんなが思ってるほどたいしたことないから。本当に最近出会ったばかりの浅い関係だし……」



とりあえず、この話を切り上げないと。



そう思って口から出た言葉が、女子たちの好奇心に火をつけてしまったらしく、彼女たちは更にヒートアップ。



「そうなの⁉ じゃあ、理音さんにはもう会った? どんな人だった⁉」



「棗さんと大河さんのどっちがタイプ⁉」



「一葉さんとはどうやって知り合ったの⁉ 出会ったきっかけって何?」



――このように、大勢の女子からの質問の嵐は止まず。



その後も休み時間になるたびに、私は彼女たちにぐるっと周りを囲まれて、質問攻めにされるという1日を送った。