「日和? どうしたの? 顔青いよ」



紗奈が心配そうに顔をのぞき込んでくる。



これ以上彼女を不安にさせたくないのと、落ち込んでいる理由を聞かれたくなくて、私は気が動転しそうになるのを我慢しながら、ぶんぶんと首を横に振った。



「ううん。何でもない……」


「本当に大丈夫? なんかいきなり具合悪くなったみたいだけど」



「気にしないで。ちょっと自分が許せなくなっただけ……」



「ちょ、みんな! あの車見てよ!」



突然、窓際の席に集まっていたグループのうち一人が、外の方を指差して大声を上げた。



放課後ということで、解放感にあふれた教室の空気が、ざわっとどよめく。