「まあ、僕が『闇夜の帝王』って呼ばれているのは本当だよ」



「やっぱり……」



予想どおり。あの闇夜の帝王が、今私の目の前にいる一葉さんだった。



「いつの間にか、勝手にそう呼ばれてただけなんだけどね」



なんて本人は謙遜するけれど、彼からはトップに立つ者の貫禄というか、通り名どおり『帝王』の風格を持ち合わせてるのをひしひしと感じる。



「ところで、こうやって話してるけど、時間大丈夫?」



「へ?」



「見て。もうすぐ8時半だよ」



一葉さんはそう言うなり、ベッドサイドの目覚まし時計を指差した。



文字盤の針が、8時25分を差している。



ヤ、ヤバい……。



いつの間にか、すっかり一葉さんとのおしゃべりに興じて、こんなに時間が経っているのに気付かなかった。



このままじゃ、遅刻する‼