「どうかした?」



声をかけられてハッとすると、一葉さんが自分の顔を指差した。



「さっきから僕の顔をじろじろ見てるけど、何か付いてる?」



どうやら私は自分でも気付かないうちに、一葉さんの顔を凝視していたらしい。



「あっ、いや。一葉さんって棗によく似てるなーって思って。目元とか……」



「そりゃそうだよ。棗は僕のいとこだもの」



「いとこ⁉」



「ああ、母方の叔父の子でね。昔は僕にもっとよく似てて、幼なじみの理音が間違うぐらいだったけど」



「なるほど……」



「まあ、その話はさておき。僕も登校しなくちゃいけないから、準備しようか」



「は、はい!」