「ごめん、待った?」と一葉さんがたずねると、理音さんは「ううん、大丈夫!」と首を横に振って元気に答える。



それから腰に手を当てて、私たちの顔を確認するように見渡すと、



「それじゃあ全員揃ったことだし……、早速出発するとしよう!」



弾けるような声で「みんな、行くよ!」と先陣切って、軽い足取りでターミナルに向かっていった。



「あーもー、理音さん! 置いてかないでくださいよ!」



大荷物を持った大河が慌ててバタバタと走り出すと、棗も「俺も行く!」と後を追い駆けていった。



「日和、僕たちも行こうか」



一葉さんがこっちを向いて声をかけると、私の手を取って、指と指を絡ませるようにして握り締める。



私はにっこり笑ってうなずくと、つないだ手をぎゅっと握り返して、一葉さんと共に一歩踏み出した。




今日も私の胸元にあるペンダントトップのピンキーリングが、朝日を浴びてキラキラと輝いている。



それはまるで、心の底から笑顔になれた私を、祝福してくれているかのようだった。



【完】