「一葉さんは⁉」



そう簡単に安心していられない。



きっと、あの人の方が私以上にピンチのはずだ。



いても立ってもいられなくなって、投げ飛ばされる前にいた方向に顔を向ける。



すると、ちょうど如月がナイフの刃先を一葉さんに向けて、ものすごい勢いで突進しているところだった。



「一葉さっ――……‼」



危ない‼ と叫ぶ前に、一葉さんがナイフを蹴り上げる。



ナイフは如月の手を離れると、ぎらついた光を放ちながら空中で回転しながら放物線を描いて、カシャンと大理石の床の上に落ちた。