「日和、歯を食いしばって」



一葉さんが私の耳元で、ささやくように指示を出した。



「えっ? 何で……」



「いいから、――いくよ‼」



一葉さんが声を張り上げた瞬間、耳元でぶおんっと風を切る音がして、ふわっと体が宙に浮く。



――もしかして私……、一葉さんに投げ飛ばされた⁉



まるでスローモーション映像の中にいるように、自分の体がゆっくりと落下していくのを感じながら、言われたとおりに歯を噛みしめた直後。



がしっと背中から受け止められたような感覚を覚えた。



「ナイスキャッチ!」という理音さんの声が、頭の上から降ってくる。



今の、何……? 



私、無事なの?



ていうか、何が起こったの……⁉