すると、むんずと前髪をつかまれ、無理矢理起こされた。



手加減なしに髪を引っ張られる痛みに、自然と目に涙がにじむ。



「泣きたいのはこっちの方だよ」



如月が能面のまま、私に向かって冷たく吐き捨てた。



「今の今まで……日和の自己中な行動のせいで、こっちは相当迷惑したんだ」



私の前髪をつかむ如月の手が震えてる。



よっぽど私の逃亡が、彼の腹に据えかねていたんだろう。



昔、綺麗だなと思った彼の瞳の奥で、憎悪の炎がめらめらと燃えている。