「残念だな。あの黒髪、日和にとても似合ってたのに……」



「そう? こっちの方がかわいいでしょ」



「は? ふざけんな。似合ってねーよ」



如月の顔からふっと笑みが消えて、能面のような表情に変わる。



このキレた時の豹変ぶりは変わんないな。なんて呑気なことを考える間もなく。



勢いよく立ち上がった如月のとがった革靴の先が、私のお腹にめり込んだ。



抵抗することもできずにまともに蹴りを食らってしまったせいで、衝撃と鈍い痛みに体のバランスをくずして、真っ白い大理石の床の上に倒れ込んでしまう。