握った拳が震えるほどの憤りを覚えるのと同時に、如月に抱いていた恋の熱がすーっと冷めていくのを感じた。



目的が伏せられた如月の『付き合って』に、自分に都合良く解釈してしまった私にも多少なりとも落ち度はあるけれど。



本命の彼女が危ない目に遭うのは嫌だからって、その子にそっくりな私を身代わりにするって、こいつは一体どういう神経してんだよ。



ノアもノアで、『ありがとう』と如月に抱き着きながら、絶句する私を盗み見て、悪魔みたいな笑みを浮かべている。



悔しくて涙が出てきてしまいそうだけど、こんなところで泣くわけにはいかない。