『待って。身代わりって何?』



耳を疑って聞き返すと、如月に『言葉通りの意味だよ』と淡々と返されてしまった。



『私、如月の彼女になったんじゃないの?』



『ん? 何それ?』



『何それって……待ち合わせした後すぐに、私に付き合ってって言ってたじゃん。なのに、そこのノアって子の身代わりってどういう……』



『日和さー、何か勘違いしてない?』



抑揚(よくよう)のない如月の声が、私の話を遮った。



ほほ笑みを浮かべていたはずの彼の顔から、ふっと感情が消えて、能面のような表情に変わる。



流石は、銀楽街トップに君臨するplatinumの総長。



有無を言わせないとばかりに如月から放たれる威圧感に、私はつい黙り込んでたじろいでしまう。