その返事に、目頭がじんと熱くなる。



……でも、この人はノアの婚約者だ。



私に会いに来てくれたなんて喜んでいる場合じゃないと、一気に現実に引き戻される。



「……駄目じゃないですか」



「え?」



「私と2人きりで話したかったって……このことを、婚約者の人が知ったらどうするんですか」



「婚約者?」



聞き慣れない言葉の意味をたずねるように、一葉さんは不思議そうな顔をして首をかしげた。



「ごめん。ちょっと何のことかよくわかんないんだけど……」