「日和、大丈夫？」



ノアと一葉さんのキスを目撃してから、２週間が経った７月の金曜日の放課後。



自分の席で帰り支度をしていると、紗奈が私の顔をのぞき込んできた。



いつもの天真爛漫な彼女からは考えられないほど、大きな瞳に不安の色が浮かんでいて、今にも泣きそうな顔をしている。



「あっ、うん。大丈夫……」



「本当に？　最近の日和、なんだかすごく悩んでいるように見えるよ。顔色もすごく悪いし……、何かあった？」