「あんた、そのうち痛い目見るよ」



私が軽蔑を込めて吐き捨てると、ノアは一瞬すくみ上がった。



でも、すぐに持ち直したかのように「だから何?」とすごんで、憎たらしい笑みを顔面に貼り付ける。



「ごめんね~、日和。如月どころか、一葉まであたしがゲットしちゃって怒ってるかもしれないけどさ。だからって、あたしがどうこう言われる筋合いないからほっといてね。早く切り替えて次の恋も頑張って。じゃあね」



ノアは立ち上がるなりワンピースの裾をひるがえして、颯爽とこの場を後にした。



一人残された惨めな私は、感情に任せて爆発したり泣きわめいたりする気力もなくて。



ただただ虚無感に支配されたまま、ノアが歩いて行った方向を向いて途方に暮れていた。